■ 建物を描く便利な方法があれば知りたい。
■ 測点法(M点法)について知りたい。
建物をスケッチしようとするとき二点透視図法的に描くと思いますが、2つの消失点を同じ紙面に取れずに困った、という方は少なくないでしょう。
これについては、以前にガイドラインを使う方法を紹介していますが、測点法 (M点法)を使って描くこともできるのです。
M点法ともいいます。MはMeasuring Pointの頭文字です。
この記事では測点法(M点法)の考え方と、その応用の仕方について紹介します。
測点法 (M点法)の考え方
透視図の実長は必ず「画面」上で測りますが、測点法(M点法)は画面上の実長を補助線を使って奥行き方向に割り付ける方法です。
この補助線の消失点を測点と呼びます。
「いったいなんのことですか?」って思う方でも、二等辺三角形はご存知だと思います。
二つの辺の長さが等しい三角形のことです。
測点法 (M点法)はこの性質を利用した考え方です。
線分OAを測点を使って描いてみることにします (図1)。
線分OAと同じ長さの線分OBを画面上にとります。
OABは二等辺三角形になります。
線分ABを補助線として使い、透視図を求めます。
立点SPから直線ABと平行に延長し、画面PPとの交点M求めると、これが線分OAの測点〈M〉となります(線分ABの消失点)。
作図上では、Vを支点に半径V・SPの円弧を引き、画面PPとの交点を求めると、測点Mが得られます。
透視図上でoV上のaは、bと測点Mを結び、oVとの交点から求めることができます。
線分obとOAは同じ長さです。
奥行き方向への割り付けは、この測点を使って図2のように描くことができます。
実際に建物を描いてみましょう
測点 (M点)を使って、建物を描く手順を示します。
では、どういう時に測点を使うかということになりますが、図面の作りやすさを考えると、左右対称の建物を描く場合に有効だと思います。
例として、大阪の中之島にある中央公会堂のような建物を想定してみます。
建物を図3の矢印の方向に見ます。
右側面を測点 (M点)を使って描いてみます。
左側面は消失点VPを設定して描く方がいいので、スケッチブック内に消失点が取るようにします。
建物の一番手前の角を垂直基準線とし、水平線 HLとの交点を測点(M点)とします(図4)。
コンパス等を使って、外形線の角度を測ります。
外形線を引き、建物の一番遠い側の端Pを、周りとの関係から測って決めます。
測点とPを結び延長します。
Aから水平に線を引き、直線MPの延長線との交点をBとします(図5)。
Bから垂線を下ろし、地盤面との交点をCとします。
Cから垂直基準線に向かって水平に線を引き、交点をDとします。
四角形ABCDが右側面図となります。
※ 本来はABCDの図面ありきの作図になるので、BからM点に結びPを求めます。
今回はスケッチですから、上記の手順で正面図の外形を求めています。
Pから垂線を下ろします。
CとMを結び、Pから下ろした垂線との交点をQとします(図6)。
DとQを結ぶと、四角形APQDが右側面の透視図となります。
四角形ABCD内に、側面図を作ります(図6 黄線)。
スケッチなので、ラフに描けばいいでしょう。
各ポイントと測点(M点)を結び、透視図上に割り付けます。
半円は、その範囲を図7のように決めてから描き入れます。
これで右側面が描けました。
全ての作業を一枚の図に重ねると、図8のようになります。
左側面は図のようにVPに向かいます。
正確なM点を得る方法
あくまでもスケッチなので、「図」としての正確さよりも「らしさ」を優先させるべきですが、正確な測点 (M点)を得る方法を知りたい方もおられるでしょう。
その方法を以下に示します。
水平線(HL)と平行にV1’V2’を引きます(図9 緑線)。
(任意の位置に引きますが、三角形QV1V2よりも小さくなる位置に引く)
※ 図には示されていませんが、V1はQV1’の延長線とHLの交点にあります。
V1’V2’を直径とする半円を描き、垂直基準線の延長線との交点をeとします。
図9のように、線分V1’eをV1’を支点にV1’V2’上に倒しm1を求めます。
同様にしてm2を求めます。
三角形QV1’V2’と三角形QV1V2は相似形なので、Qを使ってHL上まで拡大しM1、M2を求めることができます。
左右の側面図を使う方法は図10の通りですが、先述しているように片側の消失点は使った方が描きやすいです。
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最後に
絵を描くことは図面を引くことではありません。
測点 (M点)を利用して正確に描いたとしても、実際に見ている風景と違って見えることの方が多いので、先述した通り見た目のらしさを大事にしてください。
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