大阪府では三回目の緊急事態宣言発令中ですが、能勢の絵画教室「アトリエ・サム」ではレッスンを実施しています。
大阪といっても能勢町の感染者数は非常に低く(レッスン日の5月8日の感染者数は2人)、メディアの報道から受ける不安感も感じませんが、今月のレッスンは屋外でスケッチをすることにしました。
幸いなことに「アトリエ・サム」の周りは自然に恵まれていて、スケッチポイントがたくさんあります。わざわざ電車や車で移動することもないのです。
この記事では、先日のアトリエ・サムでのスケッチを交えて、空気遠近法を使った風景画を描く際のポイントを解説します。
スケッチポイント
今回のスケッチポイントは、絵画教室アトリエ・サムから歩いて約30分の坂井峠です。
この場所は昨年の春にも訪れました。
見晴らしがよく、遠くまで連なる山々を見渡すことができるので、空気遠近法の練習には絶好の場所だと言えます。
季節ごとにさまざまな表情を見せてくれるので、何度訪れても飽きることがありません。
このスケッチは昨年の風景講座でのアクリルスケッチです。
この日は桜が満開で、花見を楽しむ人もチラホラ。
僕たちもレッスン終了後に、ノンアルコールビールをいただきました????
目の前に広がる色をどう見るのか
目の前に広がる風景には、実に豊かな色数があります。
これらの色を部分部分で見ると、どの色も自分の知っている、比較的鮮やかな色として認識してしまうのではないでしょうか。
ですから、手前(近景)、真ん中(中景)、向こう(遠景)という風に大きく分けて捉え、比較しながら見ていきます。
手前にある木々の緑を見て、中景の緑や遠景の緑と見比べるといった具合です。
空気遠近法とは
私たちは経験的に遠くの山が青みを帯びて見えることを知っています。
同時に遠景ほど形が曖昧になり、かすんで見えることも知っています。
空気遠近法は、この性質を利用した空間表現方法です。
特に難しいテクニックがあるわけではなく、目の前に見える色の変化を素直に追いかけるだけで、空気遠近法の効果が得られます。
奥行きを強調するために、遠景にある物の色に青みを利かせたり、形を曖昧にさせたりして、その効果を狙うこともあります。
現場で描いたスケッチです。
当日は曇っていたので、空の色も暗めです。この段階では茶色がかった色になってしまいました。
しかも、ちょっと暗すぎる(汗)。
後日、加筆修正をしました。
特に空の色と遠景の山の青みを強めています。
遠景の山は輪郭もぼかしました。
すこし奥行きが広がったのではないでしょうか。
空の青みに引きこまれるように、青みを帯びた山が遠のいていくように見えるので、茶色がかった空のままでは奥行き表現は期待できません。
空の色と遠景の色はセットで考えます。
《緑》を豊かに見せる混色テクニック
色を豊かに見せるテクニックとして、暖色と寒色を混ぜる方法があります。
これは、おしるこの味付けで、ほんの少し塩を加えることと似ています。
反対の性質の味が加わることによって、味に深みがでます。
色も同じです。
暖色系の色には寒色系の色を混ぜ、寒色系の色には暖色系の色を混ぜる。
こうすることで、色の深みは増し色が豊かに感じられるのです。
チューブの《緑》は鮮やかすぎるので、補色系の色を混色することによって、彩度をコントロールするわけです。
イエローオーカー、バーントシェンナ、バーントアンバー等の褐色系の絵の具を混色します。
混色についての詳しい説明は、次のリンクをご参照ください。
色相環を参考にした、混色の考え方を紹介しています。
最後に
目の前数十センチの距離にあるものを描くだけでは、視野は広がりません。
時には外へ出て、広い世界を描く練習もしたいものです。
■ 「坂元忠夫の絵画教室」については、以下のリンクをクリックの上、ご参照ください。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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