アトリエ・サム なんば教室 (旧心斎橋アートサロン)の生徒さんが、公募展(二元会展)で会友佳作賞を受賞されました。
この記事では、受賞作を含む出品作2点について解説しています。
受賞作「村から望む アマ・ダブラム」について
制作に使用した写真は、ご本人が登山好きということもあり、実際に現地のネパールへ足を運び撮影してこられたものです。
制作期間は約3ヵ月。
この間にF80号2点を制作し出品、その内の1点が今回の受賞となりました。
本作の制作にあたっては、教室で習作も描かれているのです。
1日も休まずに…。
ですから、この受賞はコロナ禍をものともせずに描き続けた、当然の結果と言っても過言ではないと思います。
では、作品のディティールを見ていきましょう。
光輝くアマ・ダブラムの神々しさと、猛々しい存在感に負けない重厚なマチエール。
近寄ってみれば苦労の跡が見えます。
中景の茶色い山も固有色だけでなく、ブルー系の寒色が使われていて、遠景から近景を巧みにつないでいるのが分かります。
(もう少し特徴的な部分を撮っておくべきでした????)
建物は山のスケールを表す重要なアイテムです。
サイズを適当に描くと、山が小さく見えてしまうので注意が必要です。
これらの各パートが破綻することなくまとまり、絵に奥行きと迫力を与えているのです。
作品のロケ地について
作品の一番手前に見える集落は「グンデ村」、その先に「クムジュン村」と続いています。
「クムジュン村」は聖なる山クーンビラの麓にあり、標高3,790mのシェルパ族の里です。
村からはヒマラヤを代表する高峰を眺められ、世界各国の登山隊をサポートする優秀なシェルパを多数輩出していることでも有名です。
正面の切り立った雪山「アマ・ダブラム」は、シェルパ語で「母の首飾り」と呼ばれ、ヒマラヤ山脈にある標高6,856メートルの山です。
もう一点の出品作「クムジュン村の若者」
この作品も奥行きはしっかり描けています。
絵の具の厚みもあります。
二段掛けの上に展示されていたので細部の紹介はできませんが、色の変化にも気を配られています。
人物の右手側は商店ですが、影に沈む商品は写真をそのまま写したような表現ではなく、一つ一つの存在が分かるように描かれていました。
(この写真では黒く見えますが…)
この点は、教室で習作を制作していた際に指摘していたこともあって、それを素直に実践したということでしょう。
ただ、人物のプロポーションに問題があります。
大きく目立ったところでは、頭の大きさや上半身と下半身のバランスなどがそうです。
この点は今後の課題となる部分です。
最後に
コロナの影響であまり良いニュースがない中、今回のニュースは当教室にとって嬉しい知らせでした。
一日も早いコロナの収束を願うばかりです。
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