影の透視図には、太陽光線によってできる影と、人口光線によってできる影の2種類があります。
〈影〉と〈陰〉の違いはご存知の方がほとんどだと思いますが、念のため確認しておくと…、
〈影〉は、光が物に遮られることによってできる暗い形のこと。地面やテーブルにできる。
〈陰〉は光が差し込まない場所。 物そのものにできる。
ここでは、透視図による〈影〉の形についてです。
点光源の場合
室内灯のような人口光線は、基本的に固定された位置にある点光源から、放射状に光を放ちます。
そのため、光が作りだす影の形は、光源の平面位置と高さによって、透視図内に簡単に描くことができます。
棒の影
図1を見てみましょう。
光源の平面位置は電気スタンドの足もとです。高さは電球の中心となります。
電気スタンドを光源とする光が作る赤い棒の影は、図の青い実線のようになります。
![点光源による影の透視図](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/点光源の影.jpg)
箱の影
点光源による箱の影は図2の赤い線となります。
図1のような棒の影の集合と考えれば、分かりやすいのではないでしょうか。
![点光源による箱の影](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/点光源の影2.jpg)
太陽光線の場合
光源が太陽の場合は平行光線と考え、透視図上でも平行に入射しますが、影は消失点に結びます。
さらに、ヒトが立つ位置と太陽の位置関係により「側光」、「順光」、「逆光」の3つに分けて考えます。
「側光」...太陽が自分の側面上空にある場合
測光では光線 (黄線)は消失点を持たず、影の伸びる方向は水平方向 (ADの方向)となります。
影の形はABCDです(図3)。
![太陽光線による影の形](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/影の透視図 太陽光1.jpg)
「順光」...太陽が自分の背後にある場合
PがEの位置に影を落としているとします。
この時の太陽光線の入射方向はPEとなります。
AとEを結んで延長し水平線との交点を求めると、これが高さ方向の影の消失点となります。
ここから垂線を下ろします。
この垂線とPEを延長した交点が、太陽光線の消失点です。
求める影の形はABCDEとなります。
![太陽光線による影の形](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/影の透視図 太陽光2.jpg)
「逆光」...太陽が自分の前面にある場合
考え方は「順光」と似ています。
PがAの位置に影を落としているとします(図5)。
この時の太陽光線の入射方向はPAとなります。
AとDを結んで延長し、水平線との交点を求めると高さ方向の影の消失点となります。
ここから垂線を立ち上げます。
この垂線とAPを延長した交点が、太陽光線の消失点です。
求める影はABECDとなります。
![太陽光線による影の透視図](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/影の透視図 逆光.jpg)
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最後に
作図上では、それぞれの光をさらに2つに分けて考えますが、スケッチのための考え方はこれで十分だと思います。
影の伸びる方向(消失点の位置)を押さえておきましょう。
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