距離点法(D点法)は、測点法の一種とも言えます。
DはDistance Pointの頭文字です。
距離点法(D点法)は画面と45°をなすパースラインと、視心へのパースラインとの交点から奥行きを得る方法です。
M点法では二等辺三角形を使って奥行きを求めますが、距離点法 (D点法)では直角二等辺三角形を使います。
正方形ABCDの対角線ACの透視図を考えます(図1 赤線)。
距離点法 (D点法)の考え方
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点2.jpg)
正方形ABCDの対角線ACの透視図を考えます(図1 赤線)。
線分ACは画面と45°をなしていますから、その消失点D2は、SPから45°に引いた直線と画面PPとの交点になります。
※ SPとVc、VcとD2(VcとD1)の距離が同じ長さであることから、距離点(D点)と呼ばれます。
Cの位置を距離点を使って求めます。
透視図上で、線分DCはVcに収束します。
線分DCと線分ACの交点がCとなりますから、透視図上でAとD2を結び、線分D・Vcとの交点からCを求めることができます。
このように画面上に実長を測っておけば、同様の手順で距離点(D点)を使い、透視図上に割り付けることができます。
ちなみに、Vcから45°をなす線分(図2 緑線)の透視図も、次のように同様に求めることができます。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点3.jpg)
距離点 (D点)を使って、室内空間を描いてみましょう。
距離点法 (D点法)の考え方を知っておくと、特に一点透視図法の室内空間を描く時に便利です。
では、実際に距離点 (D点)を使って、図3のような室内を描いてみましょう。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点5.jpg)
平面図の右から2マス目(赤い三角)に視点を置くこととします。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点6.jpg)
間口寸法 6マスと、高さ寸法 5マスを取れば、部屋の一番手前の形が描けます(図4)。
目の高さを1.5マス(任意)としてHLを引きます。
VcはHL上の右から 2マスのところです。
各コーナーとVcを結びます。
D点はVcから遠い方に設定します。
VcからD点までの距離が、視距離となります。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点11.jpg)
図5のように奥行き寸法を、AからBに6マス測りD点と結びます。
BDとA・Vcとの交点Pの位置が最深奥行きの壁の位置となります。
Pから水平、垂直に引いた線(黄矢印)とパース線との交点QとOから、さらに垂直、水平に延長して四角形OPQRを得れば、一番奥の壁を描くことができます。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点8.jpg)
次に窓を描きます (図6)。
Bから窓の奥行き寸法 2マスを測ります(図4 E)。
EF(3マス)が窓の横幅寸法となります。
E、FをそれぞれD点と結び、BからVcに結んだ線との交点(P、Q)を求めます。
窓の高さ位置はAから 2マス測ります。
STが窓の縦幅(2マス)となります。
S、TをそれぞれVcに結びます。
P、Qから下ろした垂線との交点を求めると、abcdが窓となります。
![距離点法 (D点法)](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点9.jpg)
最後に右のドアを描きます (図7)。
ドアの奥行き位置を、まず左の壁に割り付けます。
しかし、紙面の都合でどちらか片方のD点を利用することが多いので、今回はこのように割り付けています。
Bから 4マス (図7 E)測ってD点と結び、BからVcに結んだ線との交点Pを求めます。
Pから水平に線を引き、反対側の壁に割り付けます (図7 Q)。
高さ寸法は、床から 4マス(図7 T)測り、Vcと結びます。
Qから下ろした垂線との交点dを求めると、abcdがドアとなります。
![D点法](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/11/距離点10.jpg)
これでパースが描けました (図8)。
最後に
距離点 (D点)法は一点透視図法に対して使われることが多い考え方です。
もちろん、二点透視図法の作図に対しても使えますが、あまり見かけたことはありません。
興味があれば挑戦してみてください。
距離点(D点)法について詳しく知りたい方は、透視図法に関するおすすめの本を紹介していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
コメント