同じ形の規則正しく並んだ家や、等間隔に並んだ窓や杭を描く時、どう描けばいいでしょうか。
こういう場所を描くとなると、けっこう面倒で難しいですよね。
こんな時は「増殖」や「分割」のテクニックを知っていると便利です。
増殖の方法
まず基準となる一つ目の形を決めます。
対角線を引き、中心線を引きます (図1)。
![増殖](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/増殖.jpg)
次に、図2のように、ABを結んで延長しCを求めます。
そこから垂線を立ち上げてDを求めると、線分CDは次の分割線となります。
APとPDは同じ長さです。
![増殖](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/増殖2.jpg)
これを繰り返します (図3)。
![増殖](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/増殖3.jpg)
パースがついていても同様に描くことができます (図4)。
この時、中心線と水平線を混同しないようにしましょう。
中心線と水平線は必ずしも一致するわけではありません。
分割線と水平線は直交します。
![増殖](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/増殖4.jpg)
分割の方法
次に分割の方法ですが、二分割や三分割の方法は【 構図の決め方・考え方「三分割法」】の中で紹介しているので、そちらをご覧ください。
まず四分割ですが、これは二分割を二回い行えばいいので簡単です。
六分割も難しくありません。
二分割と三分割を組み合わせればいいだけですね。
五分割や七分割となると、かなり難しそうに思ってしまいますが、案外そうでもありません。
これらは三分割する方法に似ています。
まず、五分割を考えてみましょう。
図5のように四分割し(青線)、それぞれの長方形に同じ方向の対角線を引きます(赤点線)。
![分割](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/分割.jpg)
図5で引いた赤点線と、元の長方形の対角線(緑)との交点を求めると、五分割となります (図6 赤点線)。
![分割](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/分割2.jpg)
七分割も同様に考えます。
まず六分割し、それぞれの長方形に対角線を引きます。
この対角線と、元の長方形の対角線との交点を求めればいいだけです。
では、N分割したい場合どうするか。
三等分は、まず二等分。
四等分は三等分。
五等分は四等分。
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七等分は、まず六等分からでした。
ということは、N等分する場合は、(N-1)等分しておけばいいということになります。
また、このテクニックは、図7のようにパースの中でも使えます。
![分割](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/分割3.jpg)
参考図書
椎名 見早子 著/パース塾
~ 画力がメキメキUPする! いちばん簡単な遠近法講座 ~
![パース塾](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/uploads/2020/12/%E6%9C%AC%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B9%E5%A1%BE.jpg)
ここで紹介した増殖や分割のテクニックだけでなく、パースの基本が非常に分かりやすく解説されています。
決して、「漫画なの?」などと侮ってはいけない。
誰もがつまづきやすいパースも、この一冊が解決してくれると言っていいでしょう。
この一冊に書かれていることが理解できれば、風景画だけでなく静物画や人物画を描く際にも、物の見方が変わります。
![](https://tadao-sakamoto.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
最後に
増殖や分割のテクニックは、よく使うので知っていると非常に便利です。
難解に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、何度も練習して覚えておきましょう。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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