西洋絵画の歴史に連なる大山脈は、とてつもなく巨大で奥深く、アルプス連山の比ではありません。
その中でも、特に鋭く際立った峰はどこになるでしょうか。
いくつか考えられると思いますし、人によっても捉え方が変わるかもしれません。
この記事では、西洋美術史で著名な芸術家を挙げて、簡単に西洋美術の流れを見ていきたいと思います。
レオナルド・ダ・ヴィンチ
ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチは、世界一有名な油絵「モナ・リザ」の作者です。
レオナルドの峰が際立って高いのは、天才的な才能と品格にあります。
このレオナルド以降、画家を志す者は、写実の描写力を極める必要がありました。
簡単に言えば、上手くなければ画家として、認められなかったのです。
絵画教室で言うならば、技術習得の時代です。
???? 透視図法が発明されたのもこの時代です。
ポール・セザンヌ
セザンヌは後期印象派に属する画家です。
彼が日の目を見るのは50才を過ぎてからですが、19世紀と20世紀を結ぶ役割を果たした偉大な画家です。
この時代の特筆すべき点は、色彩学が発達したことと、チューブ入りの絵の具が発明されたことです。
これらの要因が印象派の画家たちに多大な影響を与え、色彩が絵画の主役に躍り出ることになります。
セザンヌは印象派の編み出した色彩には注目していましたが、曖昧な形は気に入りませんでした。
しかし、彼にはレオナルドのような描写力はありません。
???? この技術面の拙さが当時の軽蔑の的であり、後の賞賛の的でもあるのです。
この考え方は、後のピカソ、ブラックの「キュビズム」に受け継がれていきます。
つまり、現代美術への入り口を切り開いたということです。
絵画教室では、創造する力を養う時代と言えるでしょうか。
✅ セザンヌについての作品や生涯については、次のリンクで詳しく紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
彼と親交の深かったエミール・ゾラとの友情をテーマにした映画「セザンヌと過ごした時間」も紹介しています。 ギヨーム・ガリエンヌが演じるセザンヌと、ゾラを演じるギヨーム・カネの二人の俳優は、どことなく本人に似ていて見入ってしまうほどです。
セザンヌファン必見の映画だと思います。
マルセル・デュシャン
1916年、スイスのチューリッヒに集まった芸術家たちが、短命で過激なダダイズム運動を起こします。
同じ頃、ニューヨークでも、マルセル・デュシャンを始めとする芸術家たちによって、似たグループが結成されます。
職人的な技や思考で作られた芸術観を壊すことで、現実の世界にある全く別の精神性を肯定したのです。
余談ですが、ウルトラ怪獣のダダ星人は、このダダイズムに由来しています
日常どこにでもあるようなガラクタを素材とし、ダダイズム運動は盛んになっていきます。
千利休もガラクタに高値をつけて商売していたようですが、利休にしても、デュシャンにしてもプレゼン力はなかなかのものです。
デュシャンが発表した「泉」はレディメイドとして、現代美術にまでつながっていきます。
この「泉」、男性小便器にサインしただけなのです。
素材としてではなく、既製品そのものに芸術的価値を与えてしまったことに、彼の偉大さがあります。
既知の物を未知の物として、視覚の革新を行ったのです。
しかし、絵画教室では厄介者です。
「やるな」ということはやり、「やりなさい」と指導することはやらないのですから。
最後に
西洋美術史を、3人の芸術家と絵画教室になぞらえて、簡単にまとめてみました。
的を外さず、超簡単と言える程かと言われれば、疑問は残ります。
もう少し幅を広げて書けばよかったのかもしれませんが、今回は初心者にも分かりやすいということを意識して書きました。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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