遠近法 「消失点を考えて描く‥曲がった道/積み重ねた箱/階段」

理屈で透視図を理解しても、実際にスケッチに活かすのは難しいものです。

ここでは、「曲がった道」、「積み重ねた箱」、「階段」の消失点を踏まえて、それぞれの描き方について考えていきます。

曲がった道の消失点

アクリル風景画
「尾瀬」

水芭蕉やミズゴケなど、湿原特有の貴重な植物群で有名な、尾瀬の風景です。

ここは、ほぼ全域が国立公園特別保護地域、および特別天然記念物に指定されており、歩道以外への立ち入りはできません。

まず最初に、この曲がりくねった歩道を、透視図で考えてみたいと思います。

真っすぐな一本道なら迷わずに描けると思いますが、曲がった道はどう考えればいいのでしょうか。

下の図を見てみましょう。

尾瀬の風景画
(図1)

まず水平線の位置を確認します。

この絵の水平線(赤線)は、画面中央に配置した人物の頭の位置にあります(図1)。

消失点は一組の平行線に対して1つですから、これを踏まえて曲がった道をみていきましょう。

画面手前から画面中央に向かって伸びる歩道は、ちょうど人物のいるあたりまでが真っすぐなので消失点は〈A〉になります。

人物のいるところから、歩道はゆるやかに左に曲がっていきますから、消失点は〈A〉から左に〈B〉、〈C〉と移っていきます。

そこから歩道は右に曲がっていますので消失点は〈D〉となり、カーブを繰り返すごとに〈E〉、〈F〉と移ります。

消失点が右に左に動いても、決して水平線から外れることはありません。

図のように、消失点〈A〉、〈B〉、〈C〉、〈D〉、〈E〉、〈F〉は水平線上で、一直線に並んでいるのです。

複雑に曲がった道は、まっすぐな道を組み合わせて考えれば、消失点の位置も考えやすいのではないでしょうか。

積み重ねた箱の消失点

箱が積み重ねて置かれていたり、テーブルに箱が置かれていたりする場合の消失点は、どうなっているでしょうか。

図2を見てみましょう。

積み重ねた箱の透視図
(図2)

上下の箱が、画面に対して同じ角度に置かれている場合、それぞれの箱ともに同じ消失点に結びます。

見る場所が変われば、消失点の位置は変わりますが、一組の平行線に対して、一つの消失点を持つことは変わりません。
※ 図2は二点透視図法ですが、見る場所によっては一点透視図法となります。

では、上の箱と下の箱の角度を変えて、積み重ねるとどうなるでしょうか。

付き重ねた箱の透視図
(図3)

上の箱を回転させると、消失点も同じ方向にズレます。
今回は右に回転させたので、消失点も右にズレています(図3)。

上下の箱はそれぞれの消失点を持ちますが、すべての消失点は水平線上で一直線に並びます。

さらに箱を重ねます。

積み重ねた箱の透視図
(図4)

図4のように、今度は目の高さを超える緑の箱を重ねてみます。

黒い箱とも赤い箱とも角度が違うので、緑の箱独自の消失点を持ちます。

消失点は一つの箱に対して必ず一組です。

3つの箱は角度も高さも違いますが、それぞれの消失点は水平線上で一直線に並びます。

階段のパースと坂道の消失点

ローマのスペイン階段やモンマルトルの丘に立つサクレクール寺院に向かう階段、シチリア島のバロック様式で作られたサンタ・マリア・デルモンテの大階段...。

海外には魅力的な階段がたくさんあります。

しかし、描いてみたいとは思うもののどうやってかけばいいやら手も足も出ないという方も多いかもしれません。

せっかく魅力のある風景を目の前にしても、それではあまりにももったいないと思いませんか。

ここでは、階段のパースについて考えてみます。

階段のパース
(図5)

階段は少しずつ高さの違う箱が、平行に並んでいると考えてみましょう(図5)。

個々の箱に分解してしまえば、消失点の場所は考えやすくなると思います。

これを二点透視図法で描くと、図6のようになります。

階段のパース
(図6)

しかし、この方法で、どこまであるか分からない階段を描くのは、なかなか大変です。

ここで傾斜する道の消失点について、知る必要があります。

傾斜する道の消失点

坂道の消失点
(図7)

まず傾斜していない道の、消失点を考えます。

その消失点から立ち上げた垂線上に、傾斜した道の消失点があります(図7)。

これを利用して階段を描きます。

ちなみに、図6に傾斜のパースラインを当ててみると、図8のようになります。

階段のパース
(図8)

階段の描き方

階段のパース
(図9)

描き方の手順は、以下のようになります。

まず、描きやすいところに一段目を描いて、傾斜の消失点を取り、ガイドラインを引きます(図9)。

人が上がることを考えて、高さや幅を自然なサイズにしましょう。

水平線上の消失点も押さえておきます。

階段のパース
(図10)

両方の角()から、高さの線を立ち上げます(図10)。

黄点線にぶつかったところが、次の段の高さになります。

黄点線との交点から、消失点1へ結びます。

階段のパース
(図11)

図10でできた角()から、消失点2へ結びます(図11)。

以下、この作業を繰り返して、階段を完成させます。

透視図法に関するおすすめ本

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最後に

いろいろな場面での消失点を見てきましたが、大事なことは、どの平行線が一組になっているかです。

あとは直感的な描き方でもいいと思います。


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