美術雑誌への掲載を勧誘する話は実際によくあります。
公募展に初入選ともなれば、何十社から電話がかかってくることかわかりません。
こっちは何も知らないもんだから、つい有頂天になってしまう(苦笑)。
中には誘いに乗ってしまう人もいるんですよね。
以前、こんな電話がありました。
美術の窓
タイトルからの流れで「美術の窓」を紹介すると、悪質な雑誌かと勘違いする方が出てきそうですが、美術の窓は良質な美術雑誌です。
美術を幅広く捉えた特集記事、公募展レビュー、展覧会情報…などを紹介している情報誌です。
購読者数も多いので、絵を描く方ならご存知の方も多いでしょう。
この雑誌の公募展案内のコーナーで作品が掲載され、その雑誌が贈呈品として送られてきました。
掲載内容については、次のリンクからご覧ください。
以前、とある画商さんに「掲載されるのは、本を買っているからだ」と聞かされたことがあります。
僕はそれには当たらないので、なぜ掲載されたのか不思議に思っていると、本が届いた翌日に電話がありまして…
「定期購読はいかがでしょうか」ときた。
なるほど、そういうことか。
先に作品が掲載されてしまうと、なんとなく断りにくい。
これを、返報性の原理というらしいが、ちょうどコロナのこともあり、体よく断ることができた…
…と思ったら、すかさず誌上展覧会はどうかと勧めてくる。
展覧会ができないこんな時だからこそ、1/4ページに作品をドン!と掲載して発表の機会にしてはどうかと言うのだ。
うまいこと考えるもんだ。
価格を聞いてみると、12万円だそうです。
まぁまぁ、結構なお値段ですねぇ…。
しかし、美術の窓は良心的で良い雑誌です。
中には詐欺まがいの勧誘もありますから、注意しなくてはいけません。
それが、次の話。
ミイラ取りがミイラ
美術館で展覧会が開催されると、頻繁にかかってくる電話があります。
「〇〇〇出版と申します」
「先生のお作品を拝見しまして大変感動しました」
「ぜひ、弊社の美術雑誌に掲載していただきたく、お電話させていただきました」
公募展などに出品されている方なら、一度はこの手の電話を受けたことがあるのではないでしょうか。
ひと昔前なら、掲載料は何十万円という金額でした。
こういう電話には注意が必要です。
「今なら弊社推薦の✕✕✕先生特別のご推薦で、半額となっております」といった勧誘をしてくる。
半額といっても30万円くらいの金額だから、決して安いとは言えない。
さすがに最近はそんな金額ではなく、誰もが簡単に払えそうな金額を示してくるようになりました。
「せっかくのお電話ですが余裕がありませんので、他をあたってください」 と断る。
「先生のお作品、たいへん素晴らしいので是非とも応援させていただきたいんです」 と、きたので…
「分かりました。そのかわり、まずあなたが作品を買ってください」
「その画料から掲載料をお支払いします」
「10号くらいのサイズでいかがでしょうか」
…と、切り返してみた。
「え?」
「いや、あの、その…」
思わぬ攻撃に明らかにうろたえている様子(笑)。
「作品をご覧になっていただいたのであれば静物画がよろしいですか」
「お部屋に飾るなら風景画の方がいいかもしれませんね」
「いや、だから、あの…」
「そ、そ、そういうことではなくてですね…」
もう、しどろもどろ。
面白くなってきたので、たたみかけていく。
「すいません、気が付きませんでした。サイズが小さいということですね」
「30号ではいかがでしょうか」
「いや、だから、あの、ぜひ掲載をですね…」
さらに、ここでもう一押ししてみる。
「最初に無理だとお断りしているのに、あなたが応援したいと仰ったので、お話してるんです」
「それにはまず作品を買っていただかないと」
「それが応援ということですよね」
「たしかにその通りなんですが…」
「ありがとうございますっ!!!」
「では、30号100万円になります」
プー、プー、プー・・・
もうちょっと安くするべきだったかな…。
ちがうか(笑)。
最後に
この手の話は、絵の世界に限らずよくあるようです。
最近では、某テレビ番組の影響を受けて、俳句を始める方も多いようですが、それが新聞や雑誌で掲載されると、句集を作りませんか…などと恰好の的にされてしまうのです。
特にお金に余裕のあるお年寄りは、喜び勇んでOKする人もいるのだとか。
まぁ、しかし、実際に句集は出来上がるので、完全に詐欺とも言えないのかもしれません。
でも、その金額が大きい。
それでもよければ構わないんですけどね…。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
コメント
小生も、その手の話に引っ掛かったことがあります。掲載するのなら、著作権とかには、引っ掛かラナイのでしょうか?あと、広告なら、広告と書いてほしい
「入選以上の作品の独占的使用権は、展覧会の主催者に帰属する」としていることが一般的だと思います。
ですから、展覧会の主催者が第三者への許諾も含めて、図録制作やWebサイトへの掲載など、自由に行っても問題はないでしょうね。
詳しいことは専門家に確認してください。
コメントありがとうございました。