世の中で画家と称する人がどれくらいいるのでしょうか。
聞くところによると数万人いるそうです。
プロとアマの境い目が曖昧な世界でもありますから、もっとたくさんいるかもしれません。
しかし、絵を描くことだけで生活できている人はほんのわずかです。
絵の売り買いをする人を画商といいますが、ここから依頼を受けている画家は、一応プロの画家と言っていいでしょう。
一応と言ったのには理由があります。
売れる絵が、必ずしも良い絵だとは限らないからです。
絵の評価にはいろいろありますし、値段の付け方もいろいろです。
この記事では、絵の評価の基準と、値段について書いてみます。
絵の評価基準
評価の基準はいろいろあります。
その基準によって、良くも悪くも言うことができます。
代表的な基準を見ていきましょう。
個人の好み
非常に単純明快な基準ですが、歳を重ねれば好みが変わるということもありますから、曖昧な基準でもあります。
技術面
デッサン力や色彩感覚も判断材料として考えられますが、必ずしも「上手い絵」が「良い絵」とは限りません。
肩書
芸術院会員だとか、〇〇展で受賞したとか、△△美大卒だとか…、などなど。
こういうことは、画壇の中で役立つのかもしれませんが、肩書が絵の質そのものと一致するとは言えないでしょう。
なんとも凄い世界で、笑ってしまいます。
ですから、「こういう人が描けば良い絵なんですか?」と感じる人がいるのも当然です。
余談ですけど…
日本芸術院会員というのは非常勤国家公務員で、国から年間約250万円くらいのお金が出ているのです。
芸術院会員の定員は120人ですから、もの凄い金額が税金から支払われていることになります。
話が横道にそれてしまいました。
画商や評論家の評価
どちらも営業目的で、都合のいいことしか言いません。
評論家には対価によって、評価の仕方が変わる人もいます。
画商も、本心と違うことを平気でお客さんに言いますしね。
絵の値段
絵画の値段は言ってみれば、そのほとんどが手間賃だけです。
材料費なんて、キャンバスと絵の具代くらいですから、高が知れています。
手間暇がかかっているように見せなきゃいけない。
現代美術にはそんな風に見えない作品も多々ありますが…。
「フォンタナ」なんてキャンバスを切っただけだもんなぁ。
「吉原治良」は丸を描いただけだし。
(あくまでも表面的な話ですから念のため)
工業製品の場合は、材料費、設備費、人件費、販管費に利益を乗せたものが価格になりますが、絵画の価格は明らかにそれとは違います。
とうてい数百万円、数千万円になるはずなんてないのに、そんな値段がついている作品がある上、しかも売れていることがあるのだから驚くばかりです。
僅か数年で価値は下がり、オークションでもひどい値段で見かけることがありますが、身も蓋もないとはこのことです。
日本芸術院会員の大先生でも、ご存命中でありながら、オークションで値段が付かないことがあります。
これはもう悲惨です。
亡くなれば、だれも見向きもしない。
だから、死んだら価値が上がるなんて、ほとんどないんです。
画家の死後、数百年にわたって存在し続けている作品の価値は天井知らず…。
そこには「希少性」というものがあるのでしょうが、そもそも存在していることが驚異的です。
いまどき、墓でも百年残らない時代ですから。
結局、絵の値段なんて、あってないようなものとしか言えないんです。
絵の値段の決め方
絵って結構高いですよね。
その値段の決め方がどうなっているのか、気になる方も多いと思うので簡単にお話します。
百貨店などで展覧会をする画家は、画商と付き合いをしていることがほとんどです。
ほとんどの画家は、その画商と相談して価格設定をします。
0号やSMなどの小品は割高に設定し、10号以上の作品は割安に設定することが多いと思います。
その後は、作品の売れ行きや、展覧会での推挙や受賞などから判断し、価格を変更します。
最後に
結局、私たちは素直な心で、作品を見極める眼を養う必要があるのだと思います。
周りに影響されずに、判断することは難しいですが、「良い絵」には力があります。
それを感じ取れるよう、日頃から良い作品にたくさん触れておきたいものです。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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