■ ラベルの見方を知りたい
■ 色をきれいに見せるコツがあれば教えてほしい
混色すると色が濁ってきれいな色が作れない、そんな経験をした方は少なくないでしょう。
きれいなモチーフの色に近づけようとすればするほど、パレットの上にできる色はどんどん濁って灰色に…。
どうすれば、色の濁りを減らして、きれいな色を作ることができるのでしょうか。
「色数を混ぜすぎてはいけない」ということは、よく知られたことですね。
だから、混色数には十分注意している…。
なのに、なぜか濁ってしまう。
なんでやねん!
思わず叫んでしまった方は少なくないハズ。
絵の具には様々な情報が記載されたラベルが貼られています。
このラベルの見方を知っているだけで、かなり濁りを避けることができるのです。
この記事では、ラベルの見方と混色の注意点についてお話します。
ラベルの見方
シリーズ記号
価格を表しています。
A・B・C・D・・・(Aが一番安価)
色名
日本語・英語などで表記されています。
顔料
色名 | 白 | 黄 | 橙 | 茶 | 赤 | 紫 | 青 | 緑 | 黒 |
記号 | PW | PY | PO | PBr | PR | PV | PB | PG | PBk |
ラベルには表のような記号が記載されています。
それぞれの色相に番号が記され、色が表されているのです。
例:PY43 (pigment yellow 43 → イエローオーカー)
中間色(混合顔料の絵の具)には顔料の表記が複数あります (写真参照)。
HUE(ヒュー) / TINT(チント)
毒性のある絵の具や高価な顔料を用いた絵の具の代用として、色相が同じ且つ安全で比較的安価な顔料で作られた絵の具。
イミテーションです。
耐光性
紫外線に対する耐久性です。
〈★〉・〈*〉などの記号で表記されています。
数が多いほど堅牢を意味します。
透明性
〈透明色〉・〈不透明色〉などの表記があります。
乾燥日数
絵の具が乾燥する目安です。
2日・3日・・・というように、日数で表記されています。
混色制限
〈Pb〉・〈S〉・〈ナシ〉の表記があります。
硫黄系絵の具(ウルトラマリン/バーミリオン)と、鉛系絵の具(シルバーホワイト)の混色は避ける。
しかし、現在では顔料の精製技術も向上しており、それほど気にしなくてもよいと言われています。
※ 某画材メーカーの社長と話した際、「すでに混色制限はない」といってもいいくらいだが、万一の場合があるので言えないだけだと仰っていました。
メーカーによっては、混色制限のないものもあります。
※ 水彩絵の具の混色制限はありません。
毒性
〈APマーク〉 Approved Product(認証された製品)の略。
安全な絵の具に表示。
〈✕マーク〉/〈CLマーク〉 Cautionary Labeling (警告ラベル)の略。
いずれも有害性のある物質を含む絵の具に表示。
きれいな色で描くために
ウソをついてみる
花や果物などの色鮮やかなモチーフを描く時、きれいな色で描きたいと思いますよね。
しかし、自分の思いとは裏腹に、色はどんどん濁ってしまう。
その原因の一つは、正直すぎることです。
実際に花や果物を見ると、それほどきれいに見えなかったりします。
こういう時は思い切ってウソをついてみる。
自分が感じる色よりも、鮮やかな色を使うのです。
そのために、あえて混色を避けます。
チューブから出しただけの生々しい色が、リアリティを感じさせてくれることはあります。
とは言っても、まったく混色せずに描こうとすると、絵はギラギラして落ち着きのないものになってしまうので、その時は混色に注意します。
中間色の混色には注意する
中間色をたくさん使う人は、特に注意が必要です。
先述したように、中間色はすでに2~3色の顔料が混ぜてあるので、中間色同士の混色はたとえ2色の混色でも、4色、5色の色を混ぜたことと同じになります。
つまり濁りやすいのです。
写真左の色は顔料が3色示されていますね。
つまり、すでに3色混ぜられているということです。
写真右の色は顔料が1色のみです。
ですから、この2色を混ぜると4色混ぜていることになります。
色の濁りが気になる方は、顔料の表記に着目してください。
濁った色が悪いわけじゃない
画面上の全ての色をきれいに描きたいと仰る方は多いのですが、それが果たしていいことでしょうか。
見せたい色をきれいに見せるためには、引き立て役が必要になります。
そのために濁った色も、効果的に使ってみましょう。
見せたい色が、よりきれいに見えるはずです。
色が濁ったからと言って、失敗というわけではありません。
最後に
絵の具はなるべく単一顔料の絵の具を購入することをお勧めします。
混色の際の濁りを避けることができます。
同じ色を大量に使う時には中間色は便利ですが、あくまでも単一顔料を基本に考えるべきです。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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