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私たちはどのように物を見ているのか「眼の役割と大脳の働き」

通常、私たちが物を見る時、二つの眼で見ていると思いがちですが、眼は単なるレンズの役割をしているにすぎません。

実際に物の形や色などを判断しているのは大脳です。

眼の機能

眼は瞳孔から取り入れた光を、色の情報に変えて大脳に送るための器官です。

通常、私たちが眼と認識しているのは、その前方の無色透明な角膜、黒い虹彩(瞳)、強膜(白眼)の部分で、これらは眼全体の約1/6しかありません。

虹彩は人種や風土によりメラニン色素の量が異なり、青や黒などさまざまな色が存在します。

目の機能には大きく分けて、次の3つがあります。

① 角膜、水晶体で光を屈折する。
② 水晶体を調節し、網膜に焦点を合わせる。
③ 網膜で結像する。

色を受容する仕組み

眼の構造
「眼の構造 (右眼の水平断面図)」

光は無色透明の角膜を通って、円形の瞳孔から入射します。

虹彩は明るいところでは瞳孔を小さくし、暗いところでは大きく開けて入ってくる光の量を調節しています。

ただ、実際の光の量は無限大ですから、虹彩で調整しきれない光は視細胞がはたらいて調節します。

瞳孔から入った光は水晶体から硝子体(しょうしたい)を透過し、網膜に到達します。

その際、水晶体は厚みを調節して網膜で像を結ぶようにしているのです。

遠くのものを見る時は薄く、近くの物を見る時は厚くしています。

網膜の中心には黄斑(おうはん)という楕円形の部分があり、その中心部分には中心窩(ちゅうしんか)と呼ばれるへこみがあります。

視細胞には、色を認識する錐体視細胞と、暗部のみを認識する桿体視細胞がありますが、中心窩には錐体視細胞が集中して存在しており、その数は700万個を数えます。

桿体視細胞は中心窩にはほとんど存在せず、周辺部分に1億3千万個存在していると言われています。

網膜に届いた光は視細胞で電気信号に置き換えられます。

神経節細胞で、その電気信号はコード化され、視神経乳頭を経て大脳の視覚野に伝わります。

眼の役割はここまです。

ちなみに、視神経乳頭の部分には視細胞がありません。

そのため、ここに光が当たっても色を見ることができないのです。

この視神経乳頭を発見者の名前にちなんで、マリオネットの盲点といいます。

視交叉、外側膝状体の働き

視覚と大脳の働き
「大脳の水平断面図」

網膜で電気信号に変えられた情報は神経節細胞を通って視交叉で交差します。

ここで右眼で見た情報は左視覚野に、左眼で見た情報は右視覚野に交差して伝わる仕組みになっています。

これらの情報は、まず外側膝状体(がいそくしつじょうたい)に伝わり、整理、分類されると、視放線から大脳の後頭葉にある一次視覚野の特定部位に伝えられます。
一次視覚野の周辺には高次視覚野(視覚連合野)が存在しており、これまで別々に伝達されてきた色、形、テクスチャー、距離感、運動などの情報が統合されます。

さらにここに記憶の情報が加わることで、高度な認識をしています。

例えば、《黄色くて丸い形、大きさ、果物で甘酸っぱい味》などの情報が統合されて初めて、美味しそうなオレンジという判断がなされているのです。

私たちが絵を描く時、目で見て判断していると思いがちですが、実際に見ているのは大脳なのです。

よく見て描くとは

絵画指導で耳にすることの多い「よく見て描く」とはどういうことか?

人が絵を描くとき、どれだけモチーフを見続けても、いざキャンヴァスに向かうと目は確実にモチーフから離れてしまいます。

決してモチーフとキャンバスを同時に見ることはできません。

そのため、モチーフからキャンヴァスに向かうほんのわずかな時間、見た事を記憶しておく必要があります。

モチーフの大きさ、方向、位置、輪郭、色...などを短期的に記憶して描くのです。

つまり…

よく見て描く」とは、「よく見て記憶して描く」ということになります。

また、同じモチーフでも何度も描くことで、さまざまな視覚的情報が長期的に記憶されます。

特にクロッキーでは、この記憶から人体の様々な形態を引き出し、短期的な記憶と照合しながら描いていると言っていいでしょう。

参考図書

最後に

技術的な物の見方を練習することは大事ですが、人として様々な経験を積み重ねる事も、物の見方に影響します。

表面的な見方だけで、絵が魅力的になることは難しいでしょうね。


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