初心者が顔を描くと、歪んだ顔になってしまうことが多々あります。
顔には細かいパーツがたくさん集まっていて複雑だからでしょうか。
それを1つ1つ見てしまうため全体のバランスを見失ってしまうのです。
そうならないためのポイントを知っておくだけで、描きやすさはグン!とあがります。
顔の比例について

顔のパーツの位置は、目安となるポイントがあります。
目の位置は頭のほぼ真ん中です(図1 赤点線)。
次に、黄点線に注目してください。
ほぼ等間隔になっています。
・髪の生え際から眉
・眉から鼻の下
・鼻の下から顎の下
これらの間隔が、ほぼ同じ長さなのです。
もちろん個人差はありますが、参考にしていい比例だと思います。
注意すべきことは、描き慣れてきた時にこの比例に頼りきってしまい、目の前のモデルをあまり見なくなることです。
描くことは観ること、あくまでも観察第一だということを忘れてはいけません。
次にそれぞれのパーツに注目していきます。
目の形
まず最初に気になるのは、「目」でしょうか。
「目は口程に物を言う」というくらいですから、顔の中でも重要なパーツです。

正面から見た目の形です (図2)。
絵を描かない人でも正面から見た目の形はイメージしやすいと思いますが、斜めから真横に向かって頭が回転すると、その形も難しくなっていきます。

そこで、向かって左の目に2つの三角形を当てて考えてみます (図3)。
このように単純な形を組み合わせて考えると捉えやすくなるからです。

すこし斜めを向くと、右側の三角形が小さくなり左側の三角形が大きくなります (図4)。
同時に左右の目の大きさと形も変わります。

さらに真横を向くと・・・。
左の三角形1つになりました (図5)。
鼻の形
鼻は顔の中でも特に難しいパーツです。
複雑な形をしていますが、目と同様に単純な形に分解して考えてみましょう。

鼻は図6のように三角柱1つ、大きな箱1つと小さな箱2つの組み合わせで構成されていると考えると見やすくなりませんか?
こうするだけで、形だけでなく光の当たるところと陰になるところも容易に分かります。
これなら鼻がどっちを向いても怖くないはずです。
横を向いたり、見上げたりした形も描きやすくなるでしょう。
ここでは4つの形を組み合わせて考えてみましたが、もう少しブロックの数を増やせばよりリアリティのある鼻になります。
口の形
人の気分や感情を一番ストレートに表すのは口です。
口角がほんの少し上がったり、下がったりするだけでもいろいろな表情を描くことができます。
ここでは、口の大まかな形を見ていきます。

口の形と言えば、ほとんどの方が図7のような正面から見た唇の形をイメージするのではないでしょうか。
上唇は山が2つで、下唇は山が1つ。
線だけなら容易に描くことができると思います。
ここに色を塗るとなんだか奇妙な口になることが多い。
唇は赤いからといって上下ともに赤く塗ると、まるで唇のオバケになってしまいます。

図8は横から見た口です。
上唇と下唇の向きが違うのが分かると思います。
分かりやすいように赤/黄点線を添えてみました。
上唇は下を向いているため陰になることが多く暗いのです。
それに対して、下唇は上に向いているため光を受けやすく明るく見えます。
赤点線部分は下向きの要素が大きく影になります。
この部分の暗さと上唇の暗さを描くだけで、口はそれらしく見えます。
小さい部分ですが構造的におさえておくことが重要です。
耳の位置
人物を描く時、「目」、「鼻」、「口」は意識しても、 「耳」についてはあまり意識しないのではないでしょうか。
耳だけを熱心に練習する人も、それほど多くはないと思います。
しかし、いざ描くとなると「耳」がどこにあるのか迷いませんか。
では、耳を描くときのポイントを整理しておきましょう。
耳は、形よりも位置を意識します。
「耳が変だ」と感じるとしたら、ほとんどが位置によるものだと思います。
そのときは、眼鏡をかけられるかどうかを考えてみましょう。
きっと、うまく描けるはずです。
このパーツを描く手順です。

耳は顎の関節の後方に位置し、少し傾いています(図9 黄点線)。
まず顎につながる位置と、正中線に対する目の位置を決める線(図9 赤点線)から耳の位置と大きさを決めます。
幅と縦の長さを決めたら、耳の輪郭線を描きます。
細かい形については、あまり気にしなくても構いません。
それらしく描けば十分です。
いろいろな角度から見た耳の位置を練習しておきましょう。
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最後に
顔を描くことは人物画の練習として、とても良い練習になります。
モデルさんに向き合って描くことは理想的ですが、十分に制作時間を確保することは難しいでしょう。
そんな時は、ぜひ自画像を描いてみてください。
いついかなる時も描くことができるモデルは自分自身ですから。
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