Jack Hamm/人体のデッサン技法
1976年に初版が出て以来、実に45年以上も愛され続けている名著なので、ご存知の方も多いと思います。
説明が実に丁寧で、目、鼻、口などのパーツの特徴、角度を変えて描かれたパターンが豊富に示されており、人体デッサンの基礎を学ぶには素晴らしい一冊と言えます。
また、衣服のしわのでき方まで取り上げられているので、ヌードデッサンだけでなくコスチュームを描く場合にも重宝します。
バランスのとり方も詳細に示されています。
これについては、イラストや漫画を描く人には都合がいいかもしれませんが、実際にモデルを見て描こうという場合、当てはまらないことがあるだけでなく、モデルを見ずに描いてしまう危険性もあります。
参考までにとどめて、観察を忘れないようにしたい。
このことは、どの美術解剖書を手にしても言えることです。
ただ、知らないよりは知っている方がいいので、大いに参考にすればいいと思います。
✅ 特に初心者で迷っている方は、この一冊で間違いありません。
オックスフォード 美術解剖図説
この美術解剖書は、僕がまだ20代の頃に買ったものです。
絵の雰囲気に一目ぼれでした。
詳細な説明は抑えられ、シンプルで視覚的に分かりやすく作られているので、初心者にとって扱いやすい良書と言えます。
また、中級者や上級者の方でも、新たな発見のある一冊となるはずです。
✅ 絶版となっているのが残念ですが、ネット上で中古品を見つけることができます。
スカルプターのための美術解剖学
本著のタイトルには「スカルプター(彫刻家)のための…」とありますが、絵を描く者にとっても必要な見方と解説が網羅されています。
人体の様々な角度から見た形態に、人体構造を照らし合わせて示してあり、非常にわかりやすい。
フルカラーというのも魅力です。
筋肉や骨格などが色分けで解説されているので、見やすくなっています。
体表からわかる人体解剖学
この本は美術書ではなく医学書です。
ですが絵を描く者にとってそんなことは関係ありません。
参考にできるものは貪欲に取り入れましょう。
体表から見て、骨がどこどのようにあるのかが示されているので、実際のモデルを前にした際に非常に役に立ちます。
※ 医学書なので血管、神経、内臓の位置まで詳細に示されています。
✅ 美術書で目にすることのない、医学書ならではの情報も重宝します。
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系
先述した本に続いて、これも医学書です。
掲載されている図は、優れた画家の技量とコンピューターによる画像処理によって、高品質なものに仕上げられているとある通り、とにかくきれいなんです。
描かれた絵(サインが確認できます)に、どの程度画像処理がされているかわかりませんが、 グロテスクな感じは一切なく、ただただ美しいと感じます。
※ 人によっては無理だと仰る方もいるかもしれませんが…。
僕は、その美しさだけで買ってしまった。
とは言っても、やっぱりそれだけではない。
とにかく、分かりやすいのです。
人体解剖学を学ぶ本としては、最高傑作と言える一冊じゃないかなぁ。
もちろん医学書としての価値は僕にはわかりませんが、美術を勉強する立場の人にとってもこれ以上の本はないと言えます。
充実の内容がわずか1万円ちょっとで手に入るんだから、コスパも最高だと思います。
ひと昔前なら、この手の本は非常に高価だっただけでなく、図も良くなかった。
この本は、ぜひ手に取って見ていただきたいと思います。
僕が手にしている本は第二版ですが、2021年8月現在、さらに推敲を重ね分かりやすさを追求した第三版が出版されています。
最後に
解剖学なんて知らなくても人物は描けますが、知っている方がより存在感のある人体表現ができます。
ここに取り上げた本は、いずれも僕自身が手にした本ばかりです。
自信をもってお勧めできるので、ぜひ参考にしてください。
遠近法、色彩、人体、構図などの講座ブログは、「絵画講座 / インデックス」として、まとめてありますので、ご活用いただければ幸いです。
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